「ガリッ!」
狭い道でのすれ違い、あの嫌な音と共に愛車についた白い擦り傷。
恐る恐る確認して、そのショックに膝から崩れ落ちそうになった経験はありませんか?
「修理に出したら3万円かかると言われた…」
「自分で直したいけど、余計に傷だらけにしてしまいそうで怖い…」
そんなあなたに朗報です。
実は、水をかけて一時的に見えなくなる程度の傷なら、1000円以下の「コンパウンド(研磨剤)セット」で驚くほど綺麗に消すことができます。
この記事では、元カーショップ店員の視点から、絶対に失敗したくない初心者のための「削りすぎない」安全な傷消し手順を完全解説します。

作業の前に!その傷、コンパウンドで「消せる傷」か診断しよう
いきなり磨き始めるのはNGです。
まずは、その傷が「自分で直せるレベル」なのか、「プロに頼むべきレベル」なのかを診断しましょう。
運命の分かれ道「水かけテスト」
バケツ一杯の水を用意し、傷の部分にバシャッとかけてみてください。
- 傷が消えて見えなくなった → DIYで完治可能!(クリア層の傷)
- 水がかかっても白い線がくっきり見える → DIYは危険(塗装・下地まで達している)
- 爪でなぞるとガッツリ引っかかる → タッチペンが必要
コンパウンドは「塗装の表面(クリア層)」を薄く削って平らにする道具です。
爪が引っかかるほど深い傷や、地金が見えている傷はコンパウンドでは消せませんので、無理に磨かずプロに相談しましょう。
初心者が買うべきはこれ!失敗しない道具選び
オートバックスなどの用品店に行くと大量のコンパウンドが並んでいますが、初心者が買うべきはたった一つです。
迷ったら「トライアルセット」一択
「細目」「中細」「極細」など、粗さの違う3種類が少量ずつ入っている「コンパウンドトライアルセット(ソフト99など)」を選びましょう。
価格は1000円以下で買えます。
注意: 購入時は「淡色車用」「濃色車用」など、自分の車の色に合っているか必ず確認してください。特にパールやメタリック、黒い車は対応品を選ばないと白く曇ることがあります。
初心者は「自分の傷にはどの粗さが必要か」の判断が難しいため、セット品を買って弱いものから試していくのが最も安全で確実です。
忘れがちな「必須アイテム」
コンパウンド以外に、以下の2つも必ず用意してください。
- マスキングテープ: 傷の周りや、磨きたくない樹脂パーツを保護する「命綱」です。
- マイクロファイバークロス: 拭き上げ用です。普通のタオルは繊維が粗く、新たな傷を作るのでNGです。
【実践】誰でもプロ並み!傷消しの5ステップ
道具が揃ったら、いよいよ作業開始です。
失敗しないための魔法の合言葉は「直線磨き」です。
ステップ1:念入りな洗車

まずは傷周辺を徹底的に洗います。砂ボコリが残ったまま磨くと、それがヤスリ代わりになって傷だらけになります。
ステップ2:マスキング

傷の上下左右をマスキングテープで囲みます。
特に未塗装の黒い樹脂パーツにコンパウンドがつくと白く残って取れなくなるので、しっかりガードしましょう。
ステップ3:コンパウンド塗布

一番細かい(弱い)コンパウンドを、スポンジの黒い面に小豆大ほど取ります。
いきなり粗いものから使わず、弱いものから試すのが鉄則です。
※重要: 粗さの違うコンパウンドに変える時は、必ずスポンジの面を変えるか、別のスポンジを使ってください。混ざると傷の原因になります。
ステップ4:直線磨き(重要!)
ここで多くの人が失敗します。
円を描くように「くるくる」磨くのはNGです。オーロラマークという渦巻き状の磨き傷ができてしまいます。
正解は、「縦・縦・縦」「横・横・横」と直線的に動かすことです。
8cm〜10cmくらいの幅で、スポンジを直線往復させながら磨きます。

ステップ5:拭き上げと確認

一度クロスで拭き取って確認します。
まだ傷が残っていたら、もう少しだけ粗いコンパウンドに変えてステップ4を繰り返します。
傷が見えなくなったら、それ以上の深追いは禁止です。
直ったと思ったら終わらない!最後の「保護」が超重要
「傷が消えた!やったー!」
で、終わってはいけません。
コンパウンドで磨いた部分は、塗装の保護膜(クリア層)が一枚剥がれて「スッピン」の状態になっています。
そのまま放置すると、紫外線でそこだけすぐに白くくすんでしまいます。
仕上げに必ず「液体ワックス」や「コーティング剤」を塗って、保護膜を張り直してください。
この時、必ず「ノーコンパウンド(研磨剤なし)」のワックスを使うことをお忘れなく。

【免責・自己責任について】
本記事の手順は一般的なDIY補修の方法ですが、塗装の状態や作業環境によっては色ムラや傷の悪化を招くリスクがあります。不安な方や高級車の場合は、無理せずプロに相談してください。
まとめ
車の擦り傷は、初期対応さえ間違わなければ自分で安く綺麗に直せます。
【失敗しない傷消しの極意】
- 水をかけて消える傷ならDIYで勝てる
- 買うのは「トライアルセット」
- 磨くときは「直線」で
- 最後は必ず「ワックス」でフタをする
まずはバケツ一杯の水を持って、愛車の傷に水をかけてみてください。
それが、3万円の修理代を1000円にする運命の分かれ道です。

