自宅やオフィスで複数のパソコンやゲーム機をインターネットに接続したいとき、「スイッチングハブ」と「ルーター」という言葉を目にすることがあります。
どちらも似たような見た目の機器ですが、実は役割が全く異なります。
間違った機器を購入してしまうと、インターネットに接続できなかったり、通信速度が低下したりする可能性があるため、それぞれの違いをしっかり理解しておくことが大切です。
そこでこんな疑問はありませんか?
- スイッチングハブとルーターの違いは何?
- どちらを買えばいいの?
- リピータハブとスイッチングハブの違いは?
- 正しい接続方法を知りたい
この記事では、スイッチングハブとルーターの違いを初心者にも分かりやすく解説し、どのような場面でどちらを使うべきかをご紹介します。

- ルーターはインターネット接続に必須で、複数端末の同時接続を可能にする交通整理役
- スイッチングハブはLANポートを増やす機器で、単体ではインターネットに接続できない
- リピータハブよりスイッチングハブが優れている理由と、現在の主流
- 正しい接続順序(ONU→ルーター→ハブ)と、よくある失敗例
- 自分の環境に必要な機器の選び方と、確認すべきポイント
これらについてさらに詳しく説明していきますね。
スイッチングハブとは?基本的な役割を理解しよう
スイッチングハブ(LANハブ、スイッチとも呼ばれます)は、有線LANの接続口を増やすための機器です。
ルーターに付いているLANポートが足りないとき、スイッチングハブを追加することで、接続できる機器の数を増やすことができます。
スイッチングハブの主な機能
スイッチングハブの主な機能は以下の通りです。
- LANポートの拡張:ルーターの4つのポートを8ポート、16ポートに増やせる
- 有線接続の安定性向上:Wi-Fiより安定した通信を実現
- データの効率的な転送:必要な機器にだけデータを送信
ただし、スイッチングハブ単体ではインターネットに接続できません。あくまでルーターと組み合わせて使う中継機器です。
MACアドレスを使った賢いデータ転送
スイッチングハブの大きな特徴は、MACアドレスという機器固有の識別番号を使ってデータの送り先を判別することです。
例えば、パソコンAからパソコンBにデータを送る場合、スイッチングハブはパソコンBのMACアドレスを確認して、そのパソコンだけにデータを届けます。
これにより、ネットワーク上の無駄な通信が減り、セキュリティも向上します。
複数同時通信が可能な仕組み
スイッチングハブのもう一つの優れた点は、複数の機器が同時に通信できることです。
パソコンAからパソコンBへデータを送っている最中でも、パソコンCからパソコンDへ別のデータを送ることができます。
このため、複数の機器を接続しても通信速度が低下しにくいのが特徴です。
ルーターとは?インターネット接続に欠かせない機器
ルーターは、複数の端末を同時にインターネットに接続するために必要な機器です。
インターネット上の「道案内役」のような存在で、どのサイトにアクセスするかの経路を確立する役割を担っています。
ルーターの主な役割
ルーターの主な役割をまとめると、以下のようになります。
- インターネット接続の確立:ONUやモデムとパソコンの間に入り、インターネットへの道筋を作る
- 複数端末の同時接続:パソコン、スマホ、タブレットなどを同時にネット接続できるようにする
- 通信の交通整理:どの端末からどのサイトへアクセスしているかを管理する
ルーターには、主に以下の4種類があります。
- 無線ルーター(Wi-Fiルーター):Wi-Fi機能を搭載した最も一般的なタイプ
- 有線ルーター:有線接続のみに対応したタイプ
- モバイルルーター:持ち運びできる小型タイプ
- ホームルーター:コンセントに挿すだけで使える据え置き型
IPアドレスの割り当てと管理
ルーターの重要な機能の一つが、IPアドレスの割り当てと管理です。
IPアドレスとは、インターネット上の住所のようなもの。ルーターは接続された各端末に対して、家庭内ネットワーク用のIPアドレス(例:192.168.1.2)を割り当てます。
この機能により、複数の端末が同時にインターネットを使えるようになります。
異なるネットワーク間の橋渡し
ルーターは、異なるネットワーク同士をつなぐ役割も果たします。
例えば、インターネット(WAN)と家庭内ネットワーク(LAN)の間に入り、データの行き来を管理します。
この機能により、外部からの不正アクセスを防ぎながら、安全にインターネットを利用できるようになります。
スイッチングハブとルーターの違いを比較
ここまでの説明で、スイッチングハブとルーターがそれぞれ異なる役割を持つことが分かりました。
ここからは、両者の具体的な違いを比較していきます。
インターネット接続の可否が最大の違い
スイッチングハブとルーターの最大の違いは、インターネット接続に必要かどうかです。
| 機器 | インターネット接続 | 主な役割 |
|---|---|---|
| ルーター | 必須 | インターネットへの接続と交通整理 |
| スイッチングハブ | 不可(単体では) | LANポートの増設 |
ONUやモデムにスイッチングハブを直接つないでも、インターネットには接続できません。必ずルーターを経由する必要があります。
動作する通信層の違い(OSI参照モデル)
技術的な視点で見ると、両者は動作する通信層が異なります。
- スイッチングハブ:OSI参照モデルの第2層(データリンク層)で動作し、MACアドレスを使ってデータを転送
- ルーター:OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)で動作し、IPアドレスを使ってデータをルーティング
OSI参照モデルの7層の表
OSI参照モデルは、データが上(アプリケーション)から下(物理)へと送られ、相手側で下から上へと処理されていく、データ通信の階層構造を示しています。
| 階層 | 名称 | 役割(何をするか?) | データの単位 |
| L7 | アプリケーション層 | ユーザーが使うサービスを提供 (HTTP, Eメールなど) | データ |
| L6 | プレゼンテーション層 | データの形式変換・暗号化 (JPEG, SSL/TLSなど) | データ |
| L5 | セッション層 | 通信の開始・維持・終了を管理 | データ |
| L4 | トランスポート層 | 通信の信頼性や品質を確保 (TCP/UDPの制御) | セグメント |
| L3 | ネットワーク層 | 最適な経路を決定し、別のネットワークにデータを送る (IPアドレスとルーター) | パケット |
| L2 | データリンク層 | 同じネットワーク内の直接接続を制御 (MACアドレスとスイッチ) | フレーム |
| L1 | 物理層 | ケーブルや光ファイバーによる電気信号/光信号への変換 | ビット |
簡単に言うと、スイッチングハブは同じネットワーク内の通信を、ルーターは異なるネットワーク間の通信を担当します。
それぞれが管理する情報の違い
両者が管理する情報も異なります。
- スイッチングハブ:MACアドレス(機器固有の識別番号)を管理
- ルーター:IPアドレス(ネットワーク上の住所)を管理
この違いにより、ルーターは複数のネットワークをつなぐことができ、スイッチングハブは同一ネットワーク内の機器をつなぐという役割分担が生まれています。
機器選びで押さえるべきポイント
ネットワーク機器を選ぶ際のポイントをまとめます。
- まずはルーターを用意:インターネット接続には必須
- 有線接続が足りない場合にハブを追加:ルーターのLANポートだけで足りる場合は不要
- 最近のルーターはハブ機能内蔵:別途ハブを買う前に、ルーターのポート数を確認
リピータハブとスイッチングハブの違いとは
ハブには「リピータハブ」と「スイッチングハブ」の2種類があります。
現在はほとんどスイッチングハブが使われていますが、両者の違いを理解しておきましょう。
リピータハブの仕組みと問題点
リピータハブは、受信したデータをすべての端末に送信するシンプルな仕組みです。
例えば、パソコンAからパソコンBにデータを送る場合、リピータハブは接続されているすべての機器(パソコンC、D、Eなど)にも同じデータを送ってしまいます。
このため、以下のような問題が発生します。
- 通信速度の低下:不要なデータがネットワーク上を流れる
- セキュリティリスク:他の機器にもデータが届いてしまう
- 同時通信不可:1台が通信中は他の端末が通信できない
リピータハブは現在ほとんど使われていません。
スイッチングハブが主流になった理由
スイッチングハブがリピータハブに代わって主流になった理由は、以下の通りです。
- 効率的なデータ転送:必要な端末にだけデータを送るため、ネットワーク全体の速度が向上
- セキュリティの向上:他の機器にデータが漏れることがない
- 複数同時通信:複数の機器が同時に通信できる
- 価格の低下:技術の進歩により、スイッチングハブも安価に
現在市販されているハブは、ほぼすべてスイッチングハブです。
現在リピータハブを使う機会は少ない
リピータハブは構造が単純なため、かつては価格面でメリットがありました。
しかし、現在はスイッチングハブの価格が下がり、性能も大幅に向上したため、あえてリピータハブを選ぶ理由はほとんどありません。
もし古いリピータハブを使っている場合は、スイッチングハブへの買い替えをおすすめします。
スイッチングハブとルーターの正しい使い方
ここからは、スイッチングハブとルーターを正しく接続する方法を解説します。
間違った接続をすると、インターネットにつながらなかったり、速度が低下したりするため注意が必要です。
基本的な接続順序(ONU→ルーター→ハブ)
正しい接続順序は以下の通りです。
- ONUまたはモデム:光回線やケーブルテレビ回線の終端装置
- ↓ LANケーブルで接続
- ルーター:インターネット接続と交通整理を担当
- ↓ LANケーブルで接続
- スイッチングハブ:必要に応じて追加(ポート数拡張)
- ↓ LANケーブルで各ポートに接続
- パソコン、ゲーム機など:実際に使う機器
この順序を守ることで、すべての機器が安定してインターネットに接続できます。
スイッチングハブが必要なケース
以下のような場合、スイッチングハブの追加を検討しましょう。
- ルーターのLANポートが足りない:有線接続したい機器が多い場合
- ルーターから離れた場所に複数機器:1本のケーブルで遠くまで延ばし、そこでハブで分岐
- オフィスや店舗で多数の端末を接続:10台以上の機器を有線接続する場合
- 通信の安定性を重視:Wi-Fiより有線接続の方が安定するため
ルーターだけで十分なケース
逆に、以下のような場合はスイッチングハブは不要です。
- 接続機器が少ない:ルーターの標準ポート数(通常4つ)で足りる場合
- 主にWi-Fi接続:スマホやタブレットなど、無線接続がメインの場合
- ルーターにハブ機能が十分:最近のルーターは複数のLANポートを搭載
まずはルーターだけで運用し、ポートが足りなくなったらハブを追加する、という流れが効率的です。
接続時の注意点(直ハブはNG)
よくある失敗例として、「直ハブ」があります。
直ハブとは、ONUやモデムに直接スイッチングハブをつなぐ接続方法です。
これは絶対にNGです。複数の端末が同時にインターネットに接続できません。
- ❌ 間違い:ONU → スイッチングハブ → パソコン複数台
- ✅ 正しい:ONU → ルーター → スイッチングハブ → パソコン複数台
必ずルーターを間に挟むようにしましょう。
スイッチングハブを選ぶときのポイント
最後に、スイッチングハブを選ぶ際の重要なポイントをご紹介します。
必要なポート数を確認する
まずは、接続したい機器の数を数えましょう。
スイッチングハブは、5ポート、8ポート、16ポート、24ポートなど、様々なポート数があります。
選び方のコツは以下の通りです。
- 現在の機器数+将来の増加分を考慮する
- 1ポートはルーター接続用に使うため、実際に使えるのはポート数マイナス1
- 少し余裕を持たせる:ぴったりよりも2〜3ポート余裕があると安心
例:現在3台、将来2台増える予定 → 8ポートがおすすめ(ルーター接続用1+現在3+将来2+予備2)
通信速度(1Gbps、10Gbpsなど)
スイッチングハブの通信速度には、主に以下の規格があります。
| 規格 | 最大速度 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| 100BASE-TX | 100Mbps | 古い規格、現在は非推奨 |
| 1000BASE-T(ギガビット) | 1Gbps | 一般家庭・小規模オフィス向け |
| 10GBASE-T | 10Gbps | 大容量データ転送が必要な環境 |
現在は1Gbps(ギガビット)対応が標準です。これを選んでおけば、ほとんどの用途で十分です。
4K動画編集や大規模なファイルサーバーを運用する場合は、10Gbps対応を検討しましょう。
ファンレス設計のメリット
スイッチングハブには、冷却ファン付きとファンレス(ファンなし)の2種類があります。
ファンレス設計のメリットは以下の通りです。
- 静音性:動作音がほとんどしない
- 省電力:ファンを回す電力が不要
- 長寿命:ファンの故障リスクがない
- メンテナンス不要:ファンの清掃が不要
家庭や静かなオフィスで使う場合は、ファンレス設計がおすすめです。
ただし、16ポート以上の大型機種はファン付きが多いため、設置場所を工夫しましょう。
便利な追加機能(VLAN、QoSなど)
上級者向けの機能ですが、以下のような機能を持つスイッチングハブもあります。
- VLAN機能:ネットワークをグループ分けしてセキュリティを向上
- QoS機能:特定の通信を優先して安定性を確保
- PoE対応:LANケーブルで電力供給できる(ネットワークカメラなどに便利)
- 管理機能:Webブラウザで各ポートの状態を確認・設定
家庭用であれば、これらの機能は不要な場合が多いです。
オフィスやセキュリティカメラの設置などを考えている場合は、必要な機能を確認して選びましょう。
まとめ:スイッチングハブとルーターの違いを理解して快適なネット環境を
スイッチングハブとルーターは、どちらもネットワーク構築に重要な機器ですが、役割は大きく異なります。
改めて重要なポイントをまとめます。
- ルーターはインターネット接続に必須の機器で、複数の端末を同時にインターネットに接続できるよう交通整理を行う
- スイッチングハブはLANポートを増やすための機器で、単体ではインターネットに接続できない
- リピータハブよりスイッチングハブが優れているため、現在はスイッチングハブが主流
- 正しい接続順序は「ONU→ルーター→ハブ」で、直ハブは絶対にNG
- ルーターのポートが足りない場合にハブを追加するのが効率的
ネットワーク環境を構築する際は、まずルーターを用意し、有線接続したい機器が多い場合にスイッチングハブを追加するという順序で考えると良いでしょう。
それぞれの機器の特性を理解して、快適なネットワーク環境を整えてくださいね。

